研究課題
基盤研究(B)
本研究は、永久凍土の温度や変動の実態を国際的な観測網への貢献を通して解明することを目的としている。モンゴル、スバルバール、日本の高山帯などを主な研究対象地域として、現地観測や数値モデリングなどを並進した。モンゴルでは広範に実施した深度10mまでの深層地温観測の結果から、永久凍土温度は南北傾度の気候帯を一義的としつつも、地域スケールでの地理的差異(地形・地下氷量・植生)にも対応していることが示された。また、永久凍土の温暖化傾向には地域差が見られ、気温の上昇程度よりはむしろ凍土中の不凍水含有量に依存していることが示された。本研究によって展開された観測網は、他国と比しても極めて高密度であり、国際永久凍土学会も重要観測地域として注目するようになった。大雪山では国内の永久凍土帯では最深となる地温の連続観測を実施した。その結果、これまで考えられてきたよりも厚く熱的に安定した永久凍土が存在することを示した。全球気候モデル上での土壌の凍結・融解過程の表現が改善され、過去数千年程度での永久凍土分布を議論するような新たな研究の展開がみられた。モデルの検証には過去に永久凍土が存在したことを裏付ける化石周氷河現象が有効となる。そのために様々な周氷河地形がどのような気候環境下で形成されるのかということの理解を深めなければならない。これをうけ、フロストウェッジやフロストクリープなどの周氷河プロセスおよびそれらの長期変動に関する知見をスイスアルプス、南アルプス、スバルバールなどでの長期観測で蓄積した。
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Proceedings of 10th International Conference on Permafrost, Salehard, Russia
巻: in press
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