研究分担者 |
末木 啓介 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90187609)
戸崎 祐貴 産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 特別研究員 (80533215)
松村 宏 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 准教授 (30328661)
別所 光太郎 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 准教授 (10300675)
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研究概要 |
加速器質量分析法(Accelerator Mass Spectrometry : AMS)は、極微量の長寿命放射性核種を超高感度で検出できる最先端の分析手法である。本研究では、環境動態研究への適用が限られていた重い極微量放射性核種を環境トレーサーとして活用し、新たな環境動態研究手法を碓立することを目的としている。 平成23年度は、福島第一原子力発電所事故により放出された放射性核種の分析を重点的に実施した。福島県及び東関東地域において表層土壌を採取し、ガンマ線測定により定量可能な放射性核種の分布を明らかにした。分布が明らかになった放射性核種は^<131>I,^<129m>Te,^<134>Cs,^<136>Cs,^<137>Csであり、放射能比の違いも明らかとした。現在、^<131>Iの半減期が約8日と短い為に、被ばく線量評価を実施する為の詳細なデータの入手が困難となっている。そこで、半減期約1570万年の^<129>Iを^<131>Iの降下・沈着量の推定に利用することが考えられる。本研究において~<131>I濃度が明らかになった土壌試料について、^<129>IのAMS測定を実施した。^<131>Iが60~80Bq/cm2程度(2011年3月29日時点)の表層土壌で、^<129>Iは6~8×10^<-6> Bq/cm2という値を得た。^<131>Iと^<129>Iの土壌表面密度には、相関関係が認められた。現在、^<129m>Teからの寄与等を考慮して、^<129>I測定結果から^<131>I降下・沈着量を明らかにしつつある。 その他、国内各地や原子力施設周辺の土壌や降水などの環境試料採取とその化学処理方法を検討した。極微量放射性核種によるグローバルフォールアウトの蓄積・移動量の再評価では、茨城県つくば市の降水中の^<36>Cl濃度と降下量について、月別の変動を明らかにした。つくば市での^<36>Cl平均降下量として、(32±2)atoms m^<-2> s^<-1>という値を得た。
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