研究概要 |
平成19年6月から継続して実施している国土交通省霞ヶ浦河川事務所・霞ヶ浦湖心観測所での観測データから,水蒸気,顕熱,二酸化炭素,運動量のフラックスを渦相関法により求めた.これにより,ほぼ4年間の水面上のフラックス観測値を整えることができた.また,対象期間の河川流量,湖水位,湖流等霞ヶ浦河川事務所で行っているルーチン観測データの収集を行った.これを用いて平成23年度は霞ヶ浦の水収支の検討を行う予定である.一方で,平成22年度までの研究で課題として残されていた湖流の影響評価を行うために,これまでに霞ヶ浦で実施された調査結果を網羅的に調べた.その結果,平成19年度に実施された「霞ヶ浦湖流調査」の存在がわかり,その報告書と観測データの提供を霞ヶ浦河川事務所より受けた.このデータの内,本研究で実施してる観測と期間が重なっているデータを利用し,湖流を考慮して風速を補正した場合の解析結果と,水面が動かないことを仮定した従来の解析結果を比較した.その結果,湖流を考慮しても結果にほとんど影響が無いことが分かった.従って,前年度までに湖流の影響を考慮せずに行ったバルク係数の決定と推定式はそのまま利用出来ることが確かめられた.一方で,平成22年度までの研究で課題として浮かび上がった,4m/s以下の弱風時にバルク輸送係数が大きくなるという既存の研究では説明出来ない現象の原因が湖流では説明が付かなかったため,今後他の原因を探っていく予定である.
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