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2009 年度 実績報告書

サンゴ礁の褐虫藻サイクルに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21310011
研究機関広島大学

研究代表者

小池 一彦  広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (30265722)

研究分担者 鈴木 豪  独立行政法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所古垣支所, 研究員 (30533319)
林原 毅  独立行政法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所古垣支所, 研究員 (60372017)
キーワードサンゴ礁 / 褐虫藻 / 白化現象 / 海洋生態 / 海洋保全 / 生物圏現象 / バイオマス / 地球温暖化
研究概要

近年,豊かな生物多様性を誇るサンゴ礁海域においてサンゴの白化現象が頻発し,サンゴ礁生態系の衰退が危惧されている。サンゴは共生する褐虫藻を放出などの様々なプロセスにより失うことで白化し,白化状態が続くと死に至る。本年度の研究では特に,
1,様々なサンゴから放出される褐虫藻及びサンゴ内に残存する褐虫藻の遺伝子型別定量
2,シンク・ソースとしての環境中の褐虫藻の存在意義
に関して,沖縄県石垣島浦底湾において調査を行った。
1に関しては,湾内に生息する複数のサンゴ群体に対して6月及び8月に褐虫藻トラップを装着し,そこに放出される褐虫藻の遺伝子型及びその細胞数を定量PCRにより見積もった。その結果,いくつかのサンゴにおいては,水温の局い8月の方が6月に比べて多くの褐虫藻を放出していた。また,サンゴ内に残存する褐虫藻量を比較すると,調査した全てのサンゴで8月の褐虫藻量は6月のそれに比べて約30%の減少が見られた。これは,6月と8月の調査の間に大規模な褐虫藻放出があったことを示唆するものである。また,放出された褐虫藻は透過型電子顕微鏡観察の結果,目立った損傷は見られず,健康に見えた。
2に関しては,湾内に4つの定点を設置し毎月1回の採水を行い,そこに出現する褐虫藻の細胞密度を遺伝子型別に定量した。その結果,水柱にはサンゴ内と同じ遺伝子型の褐虫藻が低密度(100~200cells/L)ながら出現していたが,8月29日の採水時には約4000cells/Lの高密度な出現が認められた。定点に設置していたメモリー式水温計のデータを見ると,局密度な出現が認められた8月29日の水温は29.6℃であり,さらにその直前1週間は約30℃付近の水温で推移としいた。これは上記1の結果と照らし合わせると,高水温によりサンゴから大量に放出された褐虫藻が水柱にシンクとして蓄積していると考えられる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Do Uric Acid Deposits in Zooxanthellae Function as Eye-Spots?2009

    • 著者名/発表者名
      Yamashita H, Kobiyama A, Koike K
    • 雑誌名

      PLoS ONE 4(7)

      ページ: doi:10.1371/journal.pone.0006303

    • 査読あり
  • [学会発表] 水温上昇はイシサンゴからの褐虫藻放出を誘発るか?:水槽実験と定量PCRによる検証2009

    • 著者名/発表者名
      松岡友, 山下洋, 由良顕子, 鈴木豪, 林原毅, 小池一彦
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会第12回大会
    • 発表場所
      沖縄県 本部町
    • 年月日
      2009-11-29
  • [学会発表] 様々な褐虫藻ストレインの光合成活性2009

    • 著者名/発表者名
      小池一彦, 山下洋
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会第12回大会
    • 発表場所
      沖縄県 本部町
    • 年月日
      2009-11-29
  • [学会発表] サンゴ礁の水柱・底質における褐虫藻の出現2009

    • 著者名/発表者名
      山下洋, 鈴木豪, 林原毅, 小池一彦
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会第12回大会
    • 発表場所
      沖縄県 本部町
    • 年月日
      2009-11-29
  • [学会発表] サンゴから放出される褐虫藻量は時期によって変化するのか:同一サンゴ群体からの追跡2009

    • 著者名/発表者名
      山下洋, 鈴木豪, 林原毅, 松岡友, 小池一彦
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会第12回大会
    • 発表場所
      沖縄県 本部町
    • 年月日
      2009-11-28
  • [学会発表] Quantification of zooxanthellal Glade released from corals2009

    • 著者名/発表者名
      山下洋, 由良顕子, 林原毅, 小池一彦
    • 学会等名
      The 9th International Phycological Congress
    • 発表場所
      東京都 渋谷区
    • 年月日
      2009-08-06
  • [学会発表] Phylogenetic analysis of host-free zooxanthellae(Symbiodinium)2009

    • 著者名/発表者名
      山下洋, 林原毅, 小池一彦
    • 学会等名
      The 9th International Phycological Congress
    • 発表場所
      東京都 渋谷区
    • 年月日
      2009-08-04
  • [学会発表] Phylogenetic study of zooxanthellae(Dinoflagellate genus Symbio dinium)occurring in western Pacific coral reef environments2009

    • 著者名/発表者名
      山下洋, 林原毅, Liao LM, 小池一彦
    • 学会等名
      27th Annual Scientific Conference of the Associati on of Systematic Biologists of the Philippines
    • 発表場所
      Manila(Philippines)
    • 年月日
      2009-05-29

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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