研究課題
開放的な東シナ海と閉鎖的な瀬戸内海をモデル海域とし、数値生態系モデルを構築し、モデル実験より両海域での陸起源栄養塩と外洋起源栄養塩の輸送・循環過程を解明するとともに、それぞれの海域の年間基礎生産量に対する陸起源栄養塩と外洋起源栄養塩の寄与率を、観測データに基づく数値生態系モデルにより算出することが本研究の目的である。初年度には、数値モデルの境界条件と初期条件を決めるために、豊後水道や黒潮流域での観測データを収集し、いくつかの断面における栄養塩濃度の月平均値を作成した。また、東シナ海と瀬戸内海に流入する陸起源栄養塩フラックスの季節変化を把握するため、各海域に流入する河川の流量と栄養塩濃度を既存の文献、報告書およびデータベースから収集し、栄養塩フラックスの推定を行った。また、瀬戸内海の成層海域と混合海域における植物プランクトン種組成と物理環境および栄養塩環境との関係を知るため、伊予灘、佐田岬と豊後水道で月一回の現地観測を実施し、海底有機物の分解により供給される栄養塩が基礎生産に対して重要であることを明らかにし、成層構造の変化に伴い、栄養塩濃度と植物プランクトン種類の変化特性を把握することができた。これらの知見は瀬戸内海低次生態系モデル構築の基礎になる。一方、既存の東シナ海低次生態系モデルの高度化を図るため、東シナ海における懸濁粒子モデルの開発を行い、既存の海洋循環モデルに再懸濁プロセスを組み込み、一定の沈降速度を持つ懸濁粒子(泥)について予備的な数値シミュレーションを行った。その結果、モデルは観測された季節変化および空間分布の特徴を定性的によく再現できた。以上の成果に関連して、査読付論文1件、学会発表17件が有った。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (17件) 備考 (1件)
Science in China Series D : Earth Sciences 53
ページ: 1-7
http://www.ehime-u.ac.jp/~cmes/xguo/publication.htm