研究課題
低餌料環境は動物プランクトンの非捕食死の根本的要因の一つであると考えられる。親潮域では春季珪藻ブルーム終息前後に動物プランクトン密度が高くなり、その摂餌圧が結果として低餌料環境を作り出している可能性がある。また親潮域春季珪藻ブルームによる生産物の大部分は有光層下へ移出すると考えられるが、その一部は細胞外分泌物や消費者による同化-死亡により表層に留まり夏季の動物プランクトンの生産を支えていると考えられるが、その実体は不明である。これらの点を明らかにするため、春季ブルーム終了直後の6月7-16日に水産総合研究センター調査船若鷹丸により親潮域の観測および船上実験を行った。計3測点において24時間の昼夜観測を行い一次生産速度、セジメントトラップ係留による沈降粒子量測定、マイクロサイズ粒子捕食者としてカイアシ類群集に加え、ツノナシオキアミ、珪藻食渦鞭毛虫の摂食圧および餌料選択性を船上実験により測定した。得られた試料については現在解析を進めているが、一部試料の解析からはナノサイズの藻類が卓越して出現していることが明らかになっており、ブルーム期後餌料環境が大きく変動している様子が伺える。次年度前半までに乗船研究者が結果を持ち寄り、ポストブルーム期の炭素循環の概要と、その循環内における動物プランクトン非捕食死の影響について考察を行う予定である。
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Progress in Oceanography
巻: 87 ページ: 186-200