研究課題/領域番号 |
21310020
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳澤 幸雄 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30313042)
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研究分担者 |
野口 美由貴 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特任助教 (00431809)
三林 浩二 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40307236)
工藤 寛之 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 講師 (70329118)
齋藤 浩一 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (00205668)
篠原 直秀 独立行政法人産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 研究員 (50415692)
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キーワード | 環境分析 / 影響評価手法 / 有機リン化合物 |
研究概要 |
本研究の目的は、有機リン化合物の放散量を測定する簡便かつ精確な測定器を開発することである。有機リン化合物の毒性メカニズムである酵素阻害反応を利用し、呈色させることで視覚的に放散量を把握できる、一般環境で広く用いられる測定器を目指している。 平成21年度は、有機リン化合物放散量測定器の反応に用いる酵素、呈色に用いる試薬を選定し、測定器に適用する反応系を確立した。平成22年度は、有機リン化合物放散量の実態を把握するため、実際の家具、建材等からの有機リン化合物の放散量を測定した。建材メーカーから入手した23種類の木材・建材及び市販の24種類の繊維製品を対象とし、サンプル中の有機リン系化合物を溶媒で抽出してGC-FPD、GC/MSで分析し、検出されたものについてPFSを用いて放散量測定を行った。その結果、塗装された木材・建材や一部の繊維製品から有機リン酸エステル類が検出されたが、放散量は検出下限以下であった(<1.2μg/m^2/h)。また、実際の住宅において床、壁、カーテン、机、TV、タイルなど各2点ずつPFSを用いてサンプリングを1週間行いGC-FPDで分析したところ、全てのサンプルで検出下限以下であった。 更に、室内で簡便に用いることのできる測定器を試作した。70mmのディスク状のサンプラーで内側のくぼみに47mmの市販の吸着剤固相膜を固定し、ピン等で材料に貼り付けることができるものとした。固定する際に用いる器具も作製した。拡散長(深さ)は、0.5,2.5,5,7.5mmの4通りとした。素材には、抽出試験により有機リン化合物が検出されないことを確認したPET樹脂を使用した。 次年度は、代表的な有機リン化合物を一定速度で放散する試料を作製し、測定器の詳細な薬剤調製および測定条件を決定する。また、決定した条件で体系的に有機リン化合物の測定を行い、有機リン化合物の構造と測定値の関係をまとめる。最終的には開発した測定器を用いて実環境における測定を行い、適用可能性を探る。
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