研究概要 |
森山堤防開削後の本庄水域において,底質・水質・底生生物の調査を行った。前年度に引き続き本庄水域内の5地点で、月に1度の水深別定量調査を行った。アサリについては殻長組成の経月変化を分析し、個体群動態を明らかにした。アサリをはじめとした二枚貝は貧酸素化する夏に斃死が起こるほかに、冬季の間に大型個体がほぼ消滅することがわかった。潜水による観察と合わせて、中海に秋に飛来する潜水カモによる捕食が大きく影響することが推察された。二枚貝の浮遊幼生調査は、モニタリングを1~2週に1回、広域分布調査を年5回行った。H22年とH23年の試料について、50μm-100μmと100μm以上でサイズ分画して個体数をカウントし、分布傾向を検討した結果、サイズによる分布傾向に差異が認められ、幼生が中海北部の水深4m以深に供給源をもつ可能性が示唆された。 また、アサリをモデル生物として堤防開削の影響等を評価する目的で、昨年度に続いてマイクロサテライトマーカーによる分析を行うために、本庄工区並びに中海本湖の計10か所でアサリを採集した。採集した試料は現在も解析中であるが、前年度に見出されていた本庄工区内部の遺伝的特異性が低下しており、開削により本庄工区内外のアサリ個体群の遺伝子交流が速やかに進行しているものと推測された。また、汽水性二枚貝のうち水産上重要なアサリ、サルボウ、ヤマトシジミ、及び中海で新たに発見されたシカメガキのモノクロ・ナル抗体並びに4種同時判定のためのDLPを作成した。今年度、このうち、サルボウとヤマトシジミや中海で採集した試料を用いて特異性を検証した。
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