研究課題
本研究は薬物代謝の主要な場である肝細胞の初代培養系を用いて、酸化ストレス誘発有害物質のスクリーニングを簡便に行う手法の開発とその実用化を目指している。今年度は以下の成績を得た。 1)Hydroquinone(HQ)曝露による細胞内還元型グルタチオン(GSH)と酸化型グルタチオン(GSSG)比率の変化:HQ曝露24時間後、200μM HQ添加群の肝細胞内のGSH:GSSGの比率は、有意な差異が認められなかった。また、400μM HQ添加群のGSH:GSSGの比率は、対照群より約30%有意に減少した。2)HQ曝露による蛋白質発現の変化:Western blotting法により、200μM HQ、400μM HQ 曝露群の肝細胞内のCYP2E1蛋白質の発現量は、対照群より有意に高くなった。また、200μM HQ曝露群のCYP2E1発現量は400μM HQ曝露群の発現量に対して有意な差異が認めなかった。3)ビタミンCの添加によるLawsone細胞毒性への影響:染毛剤に使われているLawsoneは量依存的肝細胞障害を起こすことが我々の研究で既に分っている。肝細胞を0.6mMのLawsoneに曝露する前にビタミンCで2時間処理することによって細胞生存率が約20%を増えたことが分かった。4)Cumene hydroperoxide(CH)の細胞毒性及び抗酸化物質Troloxの抑制効果:Csa及びCsbの肝細胞に様々な濃度のCHを曝露させ、CHによる細胞毒性が濃度依存的であることが分かった。その結果を、これまでに得られているカタラーゼ変異遺伝子導入大腸菌を用いた曝露結果と照らし合せ、両者の一致性も明らかとなった。また、細胞毒性はTroloxの前処理によって著しく低減され、TroloxはCHの細胞毒性の予防に有効であることを示した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Clinical Biochemistry
巻: 3 ページ: 1-6
doi:10.1016/j.clinbiochem.2013.02.016
Int J Environ Res & Public Health
巻: 9 ページ: 3354- 3364
doi:10.3390/ijerph9093354
BMC Nephrology
巻: 13 ページ: 14-23