研究課題
近年、地球温暖化に伴う台風の強大化が注目されつつある。琉球列島は、世界的にみて台風のインパクトを最も受けている地域の一つであり、地域固有の自然環境は長い歴史の過程で台風に適応して形成されてきた。したがって、気候変動による台風の頻度・強度の変化は、生態系に大きな影響を及ぼすことが予想される。本研究では、野外調査によって収集したデータ及び文献から構築したデータベースを元に、統計モデルとシミュレーションモデルを用いて、台風撹乱が島嶼亜熱帯林の生物多様性と機能に及ぼす影響を定量化した。昨年度の研究実績は以下の通り:1)琉球諸島の主要な島である奄美大島、沖縄島、西表島に林齢傾度で森林調査区を設置して、森林群集のデータを収集した。このデータに台風攪乱を考慮した森林動態モデルを適用して、森林の再生過程の島間変異を解明した。この結果から、台風攪乱の地理的変異に伴う森林構造と動態の変異が明らかになった(投稿準備中);2)亜熱帯林構成種の機能特性に基づいて、群集形成機構を明らかにした。ツル群集を対象にした野外調査と統計モデルによる解析を行い、その成果を以下論文として発表した(Determinant factors influencing the spatial distributions of subtropical lianas are correlated with components of functional trait spectra);3)亜熱帯林の機能的多様性を定量し、森林伐採や植林などの人為インパクトが群集形成プロセスや生態系機能に及ぼす効果を解明した(論文投稿中);4)昨年度までの成果も含めて、琉球諸島の亜熱帯林生態系の保全と管理に関する解説を執筆した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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