研究課題/領域番号 |
21310029
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
新保 輝幸 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 教授 (60274354)
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研究分担者 |
大谷 和弘 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 教授 (20203820)
野島 哲 九州大学, 理学研究院, 准教授 (30112288)
中西 康博 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (60246668)
関田 諭子 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 准教授 (70314979)
飯國 芳明 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 教授 (40184337)
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キーワード | サンゴ群集生態系 / 環境負荷 / 生態リスク管理 / 地域社会 / 造礁サンゴ / 褐虫藻 / 白化 / 環境と社会 |
研究概要 |
鹿児島県与論島においてサンゴ礁劣化を引き起こしていると見られる陸域からの富栄養化物質流入を地域社会の合意形成に基づき抑制するという観点から、1)地域のステークホルダーの参画を得て立ち上げたヨロンの海サンゴ礁再生協議会の組織整備、2)前年度行った富栄養化物質の供給源と見られるサトウキビ農業の施肥実態のアンケート調査の結果分析を踏まえ、効率的で地下水への窒素負荷低減型の施肥法を提案、3)それを講演会や意見交換会などで島内農家普及する活動を行った。4)稚サンゴ密度、優占種であるクシハダミドリイシの個体群構造、造礁サンゴの種組成について潜水調査を行い、リーフエッジ外のサンゴが順調に回復しており、未だ回復の兆しの見えない礁池内は陸域からの物質流入によりサンゴ生育が妨げられている可能性が高いことを確かめた。5)全島20地点から地下水試料を09年11月から月1度採水しイオンクロマトグラフ法により分析、地下水水質データを蓄積、上記の農民との会合で結果を開示。6)サトウキビ栽培に使用される農薬の藻類に対する毒性をMerismopedia tenuissimaを供試藻類として検討した結果、比較的高い毒性を示したトリアジン系除草剤の地下水中の濃度を検査、検出限界以下であることを示した。 フィリピン・サンミゲル島海洋保護区(MPA)の実態、特に費用を調査、前年度評価したMPAの便益と比較し、便益が費用を上回ることを示した。また同MPAの完全禁漁区の魚類資源量は漁業区と比べ多いが、部分禁漁区と漁業区の間では差違はないことを示し、MPA内の漁業規制は完全禁漁が望ましいことを明らかにした。 環境負荷によるサンゴ白化メカニズムのラボでの検証のため、1)ハナヤサイサンゴにおける高温ストレス実験を行い、a)褐虫藻を含まない胃層細胞の微細構造の変化を検出、b)細胞内のライソゾーム様構造の増加と細胞質の断片化によって褐虫藻をもたない細胞が崩壊することにより,褐虫藻をもつ細胞が胃層組織からから脱落することを明らかにした、2)4種のサンゴ(ミダレノウ、ミドリイシ、シコロ、ゴカクキクメイシ)について、培養細胞の樹立を試み、3種のサンゴで一定期間細胞を培養・維持し、凍結保存できる実験系を確立した。
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