研究課題/領域番号 |
21310032
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
高村 ゆかり 龍谷大学, 法学部, 教授 (70303518)
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研究分担者 |
亀山 康子 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境センター, 主任研究員 (10250101)
大島 堅一 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (00295437)
除本 理史 東京経済大学, 経済学部, 教授 (60317906)
島村 健 神戸大学, 法学研究院, 准教授 (50379492)
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キーワード | 費用負担 / 地球温暖化 / 制度 / 支払い意思(willing to pay) / カンクン合意 |
研究概要 |
平成22年度は、平成21年度に行った(i)環境コストの費用負担に関する先行研究と(ii)温暖化防止の国際制度、国内制度における費用負担の制度化に関する先行研究の検討をふまえて、国内的平面、国際的平面それぞれの費用負担について理論グループと制度研究グループの本格的な検討を開始した。 理論グループは、水俣病、大気汚染をはじめとする公害問題、さらに自主行動計画を中心とする日本の温暖化対策に関する実証分析をすすめ、そこでの責任と費用負担の配分に関する分析を行った。また、国際的平面については、国際的な排出削減負担配分について一定のルールにしたがって配分を行った場合の定量的分析を行った。制度研究グループは、2009年12月のコペンハーゲン会議(COP15)を経て国際的な費用負担配分に関する交渉の進展状況を把握し、2010年12月に合意されたカンクン合意が次の国際枠組み合意の基礎となりうる合意であると位置づけ、費用負担の側面からカンクン合意の分析を進めた。 カンクン合意は、途上国について排出削減策をとるかどうか、いかなる対策をとるのかの判断は途上国の自主性に委ねており、結果的に途上国の支払い意思(willing to pay)に基づく費用負担配分を行っている。それに関連して、国際的にいかにそれを支援するのか、先進国がそれをいかに負担するのかについては、資金メカニズムの制度的側面は合意されたものの、実質的な費用負担に関してはまだ合意がなされていない。また、先進国の排出削減目標がいかなる形で約束されるのかが不透明なままであり、京都議定書の下での費用負担の論理が変容するのか否か、いかに変容するかを、途上国の排出削減策への資金支援のあり方、資金支援の費用負担のあり方、先進国の削減の約束のあり方を中心に引き続き検討する必要がある。
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