本研究課題においては、粒子識別型組織等価比例計数管(PID-TEPC)マイクロドシメトリ装置の開発を行う。一般に、組織等価比例計数管は粒子識別ができず全粒子のエネルギー付与スペエクトルとして測定される。しかしながら、粒子線治療や宇宙環境においては、多種類の粒子線が混在し、各々の線質が問題とされる。 本研究年度は、新規購入したSi検出器の計算による評価および炭素ビームを用いた試験を行った。まず、購入したSi検出器の条件でモンテカルロ計算により炭素ビームに対する粒子識別能を評価したところ、十分な識別能が得られることがわかった。その後、放射線医学総合研究所においてSOBPカーボンビームを用いて、分解能の実測した。その結果、計算で得られた値を大きく下回る分解能しかえられなかった。その原因を調べたところ、SI検出器に光漏れがあり、これがもとで分解能があがらないことが確認された。現在、キャンベラへ送り返し修理中である。分解能は十分に得られなかったが、中性子同定が可能と考え、PID-TEPCシステムの中性子同定の精度評価を別途行った。この結果は、H21年度卒業論文にまとめてある。 今後、修理後の検出器を用いた試験を行っていく。
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