研究概要 |
1.前年度、新しく設計したターゲット冷却システムを用いて実験を行った。噴流式と称し、ターゲット下部を下から多数の細管を多数通して水を吹き付ける方式である。更に銅ターゲットの下部にピンを多数立て横から水を流す方法も新たに製作し試験した。両方式とも水冷法であり銅にリチウムを蒸着または貼り付け、その銅を後方から水で冷却する。事前に熱の伝導計算を行い十分な冷却が可能なことを確かめた。陽子は2.5MeV,20mAの出力を必要とする。50kWの高い発熱に対しては十分な冷却を行う試験をした。構造解析コードを用いて、ターゲットの熱および寿命と構造材の強度に着目した冷却システムを検討し、設計製作した。設計した冷却システムについて、照射場のBNCT適用性を、中性子γ線輸送計算コードPHITSを用いて計算を行った。 2.前年度同様、中性子発生装置は放射線医学総合研究所の3MV,2mA静電型陽子線加速器で6回試験した。また線量計測のため、IC-17,IC-17G電離箱を購入し放医研のCo-60照射装置で測定した。結果は良好であった。 3.今後購入したボロン入りのポリエチレン(IC-17PB)とボロンの入っていないポリエチレン(IC-17P)の電離箱でも校正と測定を行った。これらは新たに考案した4電離箱方式で、(1)速中性子、(2)熱中性子、(3)ガンマ線、(4)(n,a)反応の線量をリアルタイム測定で可能にするためである。 4.また、より小型のIC-18シリーズで同様の計測法の開発を進め製作し測定を試みた。測定が可能であることを確認した。金の放射化による熱外中性子の測定(従来法)との比較のための準備をした。 5.ガンマ線の測定には従来からの方法である熱蛍光法(TLD)との比較について検討した。
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