研究課題/領域番号 |
21310043
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
高橋 真 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (30370266)
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研究分担者 |
磯部 友彦 愛媛大学, 上級研究員センター, 講師 (50391066)
大森 浩二 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (10152258)
半藤 逸樹 総合地球環境学研究所, 研究推進戦略センター, 特任准教授 (40446266)
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キーワード | 残留性有機汚染物質 / 臭素系難燃剤 / 重金属 / 食物連鎖 / 安定同位体比 / 数理モデル / 生物濃縮 / 影響評価 |
研究概要 |
PCB等の残留性有機汚染物質(POPs)やその候補物質として注目されているポリ臭素化ジフェールエーテル(PBDEs)、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCDs)等の臭素系難燃剤に関して、東シナ海や瀬戸内海、日本海から採取した多様な栄養段階の生物種を対象に調査を実施し、その汚染実態や生物濃縮の特徴を解明した。また、生態系の動物プランクトン・底生生物から鯨類含む高次捕食者まで炭素・窒素安定同位体比(δ^<13>C・δ^<15>N)を測定し、各海域の食物網構造と物質の濃縮動態について解析した。汚染実態に関しては、瀬戸内海東部や日本海の富山湾沿岸ではHBCDsによる汚染がPCBsと同程度かそれを上回るレベルに享で顕在化していることが示された。一方、東シナ海ではHBCDsよりもPBDEsによる汚染が顕著であった。食物連鎖による生物濃縮に関しては、瀬戸内海の生態系においてPBDEsやHBCDsの蓄積濃度がPCBs等の既存POPsと同様にδ^<15>Nに基づく栄養段階指標(TLs)と有意な正の相関を示すことが確認された。一方、東シナ海では食物連鎖による生物濃縮傾向が不明瞭であった。その要因として、PBDEsやHBCDsの一部異性体が生体内で代謝されやすいこと、東シナ海における汚染物質の起源が複雑であること、などが推察された。さらに生態系に蓄積している汚染物質の起源を推定するため、代表的な底生および表層性食物網のδ^<13>C・δ^<15>Nに基づき、底生および表層性由来の有機物寄与や汚染物質起源について解析した。また、各生物種の実測濃度データ、BCFs・BAFs、TMFs等を既報の文献値等と比較・検証を進め、昨年度までに開発したPOPsの生物濃縮モデルと統合して、食物連鎖によるPOPs生物濃縮過程の数理解析と検証を行った。とくにPCBsについては、環境動態モデルから得られた植物プランクトン体内の濃度を、生物濃縮モデルの入力データに応用した。また、ベイズ不確実性・感度解析のプログラムを改良し、動態解析モデルや生物濃縮モデルの各種パラメーターの不確実性が、高次消費者の生物濃縮予測の不確実性に現れる規模を明らかにした。
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