研究課題/領域番号 |
21310045
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
今岡 進 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60145795)
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研究分担者 |
岡田 和嗣 関西学院大学, 理工学研究科, 博士研究員 (40423892)
勝村 成雄 関西学院大学, 理工学部, 教授 (70047364)
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キーワード | 内分泌かく乱化学物質 / ビスフェノール / レスベラトロール / PDI / Notch |
研究概要 |
ビスフェノールA(BPA)のようないわゆる内分泌かく乱化学物質やレスベラトロールに代表される植物性ポリフェノールは、我々のからだに対して様々な影響を及ぼすと考えられる。内分泌かく乱化学物質は、文字通りホルモン様の作用を持ち、生体に悪影響を与えるが、植物性のポリフェノールは抗癌作用や抗肥満作用など有用な作用が報告されている。同じフェノール性の化合物でありながら、このように作用が異なるのは、これらがターゲットとしているタンパク質因子が異なるためであると考えられる。そこで、本研究においては、これらポリフェノールのターゲットタンパク質を明らかにし、その毒性及び有用性を明らかにすることを目的としている。本年度は、PCBとその生体代謝物(水酸化PCB)及び臭化難燃剤(ポリ臭化ジフェニルエーテル,PBDE)とその生体代謝物(水酸化PBDE)について、BPAターゲット因子として明らかにしているprotein disulfide isomerase(PDI)への結合性と活性への影響及びアフリカツメガエル胚発生への影響を検討した。その結果、PCBやPBDEについては、PDIに結合せず、PDIのイソメラーゼ活性には影響を及ぼさなかった。一方で、これらの代謝物である水酸化PCBや水酸化PBDEはPDIと結合し、イソメラーゼ活性を阻害した。さらに、PBDEのエーテル結合に対して、オルト位またはパラ位に水酸基を持つもの、その水酸基がメトキシ基に置換された化合物を用いて、PDIの活性阻害を検討した。その結果パラ位に水酸基を持つものが、最も強くPDIの活性を阻害した。さらに、BPAも含めこれらの化合物がPDIのイソメラーゼ基質結合ドメインに結合していることも明らかにした。一方、アフリカツメガエル胚を用いた発生毒性検討においては、PBDEは毒性を示さなかったが、水酸化PBDEは強い毒性を示した。
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