研究課題
本研究では、トランスクリプトーム及びプロテオーム解析を通じて我々がこれまでに明らかにしてきたシグナル伝達系に関わる遺伝子(タンパク質)に関して、様々な化学物質(特に天然試料などの混合物)に対する応答を遺伝子の発現レベルにおいてプロファイリングすることにより、エストロゲンに応答する遺伝子の機能をシグナル伝達経路の観点から包括的に解析し、それらの遺伝子が実際にどのようなネットワークを形成して生理機能へと結びついているかを明らかにする。本年度は以下の研究を行った。(1)エストロゲン応答遺伝子によるシグナルカスケードの同定我々がすでに発表したシグナルカスケード(Inoue et al., 2002)をもとに、最新の情報を加えてシグナルカスケードを再構築し、(2)~(4)項で解析するカスケードの骨格を構築した。(2)化学物質を用いた膜共役系を含めた遺伝子応答のプロファイリングカビ毒であるzearalenone及びその誘導体に関してDNAチップ解析とErkタンパク質のリン酸化を指標にエストロゲン活性に関わる遺伝子・タンパク質の解析を行い、論文発表した。また、ビスフェノールAに関して、受容体やシグナルメディエーターに対する阻害剤、さらにRNA干渉法を用いてシグナル伝達を解析し、GPR30受容体経由のシグナル伝達経路を見出した(論文投稿中)。(3)ラット脳の分化におけるエストロゲン応答シグナル伝達系の解析DNAチップ解析によって明らかになったRhoGDIとPKCd遺伝子について、抗体を用いてタンパク質レベルでラット脳(特に脳下垂体視床下部)の性分化との関わりを検証し、学会発表を行った(日本医科大学と連携)。(4)天然試料などの混合物を用いた遺伝子応答のプロファイリング健康食品に使われている天然物についてDNAチップなどを用いてエストロゲン活性を評価した(次年度継続)。
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