前年に見いだした超臨界メタノールを用いるセルロースの分解反応について、その生成物を明らかにするための検討を行った。生成物の単離を行うために反応を繰り返して、比較的多量の生成物(約数g)を得た。主成分であるメタノールに可溶な成分にはNMRから2-3成分が含まれているが、ここには触媒として加えた酢酸ナトリウムが含まれていることがわかっている。これを直接リサイクル分取HPLCにて分離を試みたところ酢酸ナトリウムと思われる成分は除去できたものと思われる文革を得ることができた。現在リサイクル数をあげてさらに分離効率を高めているところであり、ほぼ1成分にすることができそうな見通しである。 一方これとは別に、酢酸ナトリウムを中和して酢酸として減圧除去する方法も考えて実行した。メタノール可溶成分に塩酸水溶液を加えてから減圧濃縮し、有機溶剤を加えると、塩化ナトリウムと思われる沈殿が生じることがわかった。これはろ別により容易に除去可能であるので、この後HPLC分析を行う方法も有望であることがわかった。 一方、反応のマテリアルバランスから考えると加えたセルロース(1g)の約半分程度(0.5g)が揮発性成分としてこの実験操作では回収できていないことがわかった。そこで反応終了後の反応混合物を濃縮することなくGCMSにて分析したところ、C3程度の化合物が含まれていることがわかった。しかし、現時点ではMSスペクトルのライブラリ検索のみによる推定なので、含まれている物質が何であるかはわかっていない。今後は反応溶液の直接NMR測定などを用いた検討を考えている。
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