研究概要 |
岩石内部にトラップされるCO2量をX線CT装置を用いて計測した.トラップ量推定モデルの構築をめざし,様々な岩石種に対してデータを取得した.また,トラップされたCO2の3次元的な分布と岩石構造(空隙率,空隙径分布など)を3次元的に計測することにより,トラップメカニズムの解明のための基礎的な知見を得た.特に,岩石の層理による局所的な不均質性がトラップ量に与える影響をミクロなスケールで明らかにした.これらの研究を通じて,トラップ量は初期ガス飽和率に大きく影響されることが見いだされ,逆に,初期ガス飽和率を制御することにより,トラップ量を最大化し,移動するCO2量を小さくできることが示唆された. 岩石にCO2を圧入した場合,層理面により,多孔質構造が密な部分と疎な部分が存在する.多孔質構造が密な部分はCO2が入りにくく,初期ガス飽和率が低くなる.一方で残留ガストラップ状態にすると,これらのほとんどのCO2が岩石中にトラップされ,CO2は移動しない.逆に密な部分では初期ガス飽和率が高くなり,残留ガス飽和率も高くなるが,トラップに至る過程で移動するCO2量も大きくなる.トラップされるCO2はボアをいくつか連結したネットワークスケールで存在している.これらのトラップ気泡は,一旦トラップされると非常に安定であり,流速の増加による排出はきわめて困難である.
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