研究概要 |
クリーニング作物(飼料用トウモロコシ)の栽植密度と栽培時期の影響を高知大学農学部のライシメーター設置圃場で評価した結果,栽培しない対象区と比較して夏季は無機態窒素溶脱量が88%以上,亜酸化窒素(N_2O)放出量が68%以上削減された。春季の溶脱量は86%以上削減されたのに対して,N_2O放出量は栽植密度により差があった。岡山県笠岡湾干拓地のナス栽培ハウス農家圃場では,飼料用トウモロコシを休閑期に栽培することで,灌水除塩と有機物還元消毒時の全窒素溶脱量を,無栽培区と比べて平成22年度で75%,平成23年度で59%削減できた。この年次間差はナス栽培直後の土壌無機態窒素含有量の違いによると推察された.また,岡山と高知の土壌を用いた室内培養実験で脱窒過程のN_2O発生量を比較した結果,脱窒菌数の多い高知土壌で発生量が多かった.糖化・L-乳酸発酵プロセスからの窒素・リン回収プロセスの開発では,バイオマス発酵過程での窒素不足が明らかとなったため,回収対象をリンに限定した。バイオマスを粉砕し水に浸すことで,バイオマス中リンが速やかに水中に溶出し,溶出率は約80%に達した。得られた抽出液にカルシウムイオンを添加することで液中リンの90%以上が不溶化し,バイオマス中リンの8割程度を沈殿として回収できた。クリーニング作物からのL-乳酸生成では,糖化前処理として生物処理(Ceriporiopsis subvermispora)を検討した.まず,クリーニング作物に対しては,有機溶媒可溶部を除去することで培養可能となった.ただし,前処理効果では,有機溶媒可溶部を除去した後が高く(0.17g-glucose/g-native dry biomass), C.subvermisporaの培養に伴ってその効果が低下した.糖回収対象となるクリーニング作物のセルロースをC.subvermisporaが消費した可能性がある.
|