研究課題
近年、燃料電池等に使われるフッ素ポリマー膜(電解質膜)の需要が増えている。その一方でこれらの原料である天然資源(蛍石、フッ化カルシウムの鉱物)は特定国に偏在し、世界的な需要の増大と産出国の貿易統制により入手が困難な状況となっている。このため廃棄物からフッ素成分を回収し、循環利用することが望まれている。これらの材料の廃棄物をフッ化物イオンまで分解できれば、既存の処理技術によりフッ化カルシウムに変換できる。フッ化カルシウムは酸処理によりフッ化水素酸となり、これは全てのフッ素材料の原料である。従ってフッ素資源を循環利用するためには、廃棄物をフッ化物イオンまで分解する効果的なプロセスを作ることが重要である。しかしながらこれらは強固な炭素・フッ素結合から成り立っているため分解は容易でない。高温での焼却は可能であるが、原子レベルまで分解させるためには相当の高温(~1000℃)を必要とするだけでなく、生成するフッ化水素ガスが焼却炉材(耐火煉瓦)を激しく損傷するという問題がある。そこで本研究は燃料電池用フッ素ポリマー膜を焼却によらずに低エネルギーコストでフッ化物イオンまで完全に分解できる反応技術を世界に先駆けて開発することを目的としている。21年度は燃料電池用ペルフルオロスルホン酸膜を熱水(亜臨界水)中、鉄、銅、アルミニウム、亜鉛等の金属の添加により還元分解させることを試みた。その結果、鉄粉を添加した場合にフッ化物イオンまで特に高効率に分解できることを明らかにした。
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Industrial & Engineering Chemistry Research 49
ページ: 464-471
Proceedings of 2nd European Conference on Environmental Applications of Advanced Oxidation Processes N10
ページ: 1-6