近年、ナノ結晶の形態制御にゲルをテンプレートに用いる方法が注目され、現在盛んに研究が行われている。これまでに、長鎖アミドアミン誘導体(CnAA)の鎖長を変えると、極細金ナノワイヤーの生成温度が制御でき、室温でも合成できることや副生物の金ナノ粒子の除去法(すなわち、金ナノワイヤーの精製法)を明らかとした。本年は、金ナノワイヤーの形態制御と配線技術について検討した。 これまで、直線状の極細金ナノワイヤーの合成には成功しているが、基板への配線部分はデンドリマー状の方が有利と考えられる。そこでデンドリマー状の作製について検討したところ、C18AAの水溶液中で塩化金酸を還元するとサイズが100-200nmの2次元デンドリマー状ナノワイヤーが生成することがわかった。さらに、得られたデンドリマー状ナノワイヤーをシードとして用い水溶液中で2段階成長させると、直径が400-700nmの2次元のデンドリマー状ナノワイヤーが得られることもわかった。すなわち、ナノワイヤーをシードとして用いることにより、よりサイズの大きなナノワイヤーの合成が可能であることを示した。さらに、この手法を極細金ナノワイヤーに適用して、直線状の極細金ナノワイヤーの両端部の(111)面から、新たなデンドリマー状ナノワイヤーを成長させることにも成功した。このことは、本手法が複雑な構造のナノマテリアルを合成する際に非常に有効な技術であることを示している。さらに、ナノワイヤーをナノ配線等へ応用する場合には任意の場所から成長させる技術が必要となるが、本研究で開発した(111)面から金ナノワイヤーを成長させる技術は、新規なナノ配線技術に発展すると考えられる。
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