研究課題/領域番号 |
21310068
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水関 博志 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00271966)
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研究分担者 |
川添 良幸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30091672)
ベルスルドフ ロディオン 東北大学, 金属材料研究所, 助授 (10396517)
西松 毅 東北大学, 金属材料研究所, 助授 (70323095)
佐原 亮二 東北大学, 金属材料研究所, 助授 (30323075)
ゴルジザデー ナルジェス 東北大学, 金属材料研究所, COEフェロー (90466574)
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キーワード | 分子狭窄系 / 分子架橋系 / 分子デバイス / 分子ワイヤー / 量子コンダクタンス / グリーン関数法 / 第一原理計算 / 単一公子素子 |
研究概要 |
本年度は第一原理計算により原子・分子細線の安定構造と電気伝導特性に関して研究を行った。以下に主要な3つの系について説明する。 2個の窒素をキャップ部にドープしたカーボンナノチューブ(CNT)同士を向かい合わせた系の電子伝導特性を系統的に解析した。CNTとして(5,5)、(9,0)を用い、様々なサイトに窒素をドープした系を計算した。窒素をドープすることによる分子軌道の変化によりCNTジャンクションに新しいチャンネルが現れ、江崎ダイオードに似た負性微分抵抗(NDR)の振る舞いが見られた。NDR特性は窒素をドープしたサイトと窒素をドープしたCNT同士を向き合わせた位置関係により強く影響を受けることが分かった。これらの結果はナノエレクトロニクス分野でCNTをベースとした論理回路作製に役立つと期待される。 DFTとグリーン関数法を組み合わせた計算手法によりグラフェンナノリボンの電気輸送特性を求めた。さらに、エッジに欠陥をもつジグザグナノリボンの量子輸送現象を調べ、この系に垂直電場を印加することにより電流値を制御可能であることを示した。 グラフェンまたはシングルウォールCNTと4種類のアミノ酸、フェニルアラニン(Phe)、ヒスチジン(His),チロシン(Tyr)、トリプトファン(Tryp)間の相互作用を材料の曲率と吸着エネルギーの観点から調べた。アミノ酸の芳香族環は材料と平行に位置し、弱いπ-π相互作用が現れた。吸着エネルギーはCNTの方が小さく異なっているが、アミノ酸による違いはHis<Phe<Tyr<Trypと同じ傾向が見られた。また、大きい分極率を持つ分子が大きな吸着エネルギーを示す関係が現れた。アミノ酸の吸着前後の状態密度を比較した結果、CNT単体のフェルミ準位が吸着によるレッドシフトを示し、そのシフト量は分極率の大小と一致していることが明らかになった。
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