本年度は(1)円錐探針を用いた高分解能MFM探針の開発、(2)直径10~100nmのドットアレイの作製、(3)ドットアレイの微細磁区構造観察と磁化反転過程に関する研究を実施した。結果は以下の通りである。 (1)円錐探針を用いた高分解能MFM探針の開発 高感度・高分解能を得るために、高飽和磁化と膜平滑性の2点に着目し、FeCoBを磁性層材料として選択し探針作製を行った。磁性層厚さ30nmで最も高い分解能が得られ、1500kfci(ビット長:17nm)の記録パターンが観察できた。高分解能探針として実用性が高い。 (2)直径10~100nmの強磁性ドットアレイの作製 超高記録密度媒体として期待されるL1_0FePtについて、酸化物添加/急速加熱法で膜作製を行い、次いで電子ビームリソグラフィとイオンミリングによってパターン化した。その結果、ドット直径が15nm、ドット密度が0.83T dot/in^2に達するドットアレイを作製できた。保磁力は2~3Tで、反転磁場分布は双峰性であった。双峰性の原因は、ドット中にL1_0規則化と[001]配向に優れたドット群が40%、非[001]配向ドット及び双晶ドットが60%の割合で形成されていることである。FePt系超高密度記録媒体の製造の問題点が明らかになった。 高飽和磁化FeCoドットはコア材料、記録媒体の裏打ち層等に用いられる。電子ビームリソグラフィ/リフトオフによって厚さ10~100nm、形状が100x200nm~3μmx6μmの矩形のドットアレイを作製した。 (3)直径10~100nmのドットアレイの微細磁区構造と磁化反転過程の解明 FePt、FeCoドットアレイについて磁気力顕微鏡、X線MCD並びに極カー効果磁区観察装置を用いて磁区観察を行い磁化反転過程を調べた。FePtドットの磁化反転は、先ず体積1~2x10^<-19>m^3の活性化体積が反転し、次いでドット全体の一斉反転であると結論した。FeCoドットの磁区構造は、3μmx6μmの試料ではダブルクロスタイ構造であるが、サイズの低下とともにシングルクロスタイ構造、ランダウ構造と変化し、100nmx200nm以下では単磁区構造となることを明らかにした。
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