研究課題
本研究では、次世代太陽電池の一つとして期待されている半導体量子ドット増感太陽電池の光電変換特性の向上を目指して、(1)ナノ構造TiO_2光電極に溶液成長法で半導体量子ドットを作製しその評価を行い、(2)(1)の系に対して、光励起キャリアダイナミクスの評価を行い、光電変換効率向上と関連するメカニズムを解明する。平成21年度では、主に以下の研究成果が得られた。(1) 半導体量子ドット吸着したTiO_2光電極の作製と評価金属Tiを電解質溶液中で陽極化成しTiO_2ナノチューブ光電極を作製した。そのMorphologyと光吸収および光電気化学特性と、作製条件との相関性について詳細な検討を行い、最適な作製条件を同定した。また、結晶型異なるナノ粒子TiO_2光電極を作製した。これらのナノ構造光電極にCdSe量子ドットとCdS/CdSe複合型量子ドットを吸着し、光吸収特性、光電流量子変換効率、光電変換特性を評価した。半導体量子ドットの吸着時間(サイズ)依存性と表面修飾(ZnS,Zn^<2+>、S^<2->)による各種特性の変化について検討を行い、最適な吸着条件と表面修飾条件を見つけた。その結果、3.8%の光電変換効率が達成された。この値は、現在世界トップレベルである。(2)光励起キャリアダイナミクスの評価上記(1)で作製した半導体量子ドット吸着TiO_2光電極に対して、改良型過渡回折格子(TG)法を用いて光励起キャリアダイナミクスの評価を行った。TG応答から2つの緩和プロセスが観測された。それぞれは光励起ホール(速い成分)の緩和と光励起電子(遅い成分)の緩和に対応することがわかった。半導体量子ドットの吸着時間(サイズ)の増加に伴い、光励起電子が光電極への注入は遅くなることを見出した。さらに、半導体量子ドット表面修飾により、光励起電子とホールの緩和が速くなることを見出した。これは、表面修飾による半導体量子ドットの表面準位の減少したためだと考えられる。
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