研究課題
シリコンを基盤とするLSIは広範に利用されているが、デバイスの微細化を通じた集積化は限界に近づきつつあり、ポストシリコンとして様々な材料が検討されている。特に、単層カーボンナノチューブ(SWNT)は、規則的な一次元ナノ構造と優れたデバイス特性から将来のエレクトロニクスへの応用が期待されている。そのような観点から、SWNTをシリコンデバイスと融合することは大きな意味を持つが、シリコンウエハー上でSWNTの集積化や電子構造を制御する技術を開発する必要がある。そこで、本研究では、微細加工技術などのトップダウン的手法を発展させ高密度配向SWNTをSi基板上で合成し、Si表面での水平配向SWNTの創製を通じて集積化を実現することで、これまで築かれてきたSiデバイスと融合した高性能デバイスを作製することを目的とした。昨年度は、電子ヒームリソグラフィでパターニングした基板に対して、リアクティブイオンエッチングと呼ばれるドライプロセスで加工して、シリコン基板表面に数百nmの幅をもつトレンチ構造を作製し、そのトレンチのエッジに沿ってSWNTが水平配向することを見出した。しかし、トレンチの形状がシャープでなかったため、SWNTの配向度は十分高いとはいえなかった。そこで、今年度は、シリコンの結晶面に依存した化学反応性の違いを利用する、異方性エッチングと呼ばれるウエットプロセスでシリコン表面にトレンチを作製した。その結果、SWNTの配向度を向上させることが出来た。また、成長メカニズムの検討から、反応ガスの方向に沿った配向成長と組み合わせることで、従来よりも高い密度で配向SWNTを合成することに成功した。これらの結果に加え、サファイア上でのSWNTの配向成長やグラフェンの触媒成長に関しても検討を行い、いくつかの興味深く、かつ重要な結果を得ることができた。
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