研究課題/領域番号 |
21310078
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
大川 祐司 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (40242169)
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研究分担者 |
有賀 克彦 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (50193082)
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キーワード | 分子素子 / ナノワイヤー / 走査トンネル顕微鏡 / ジアセチレン / フタロシアニン / 単一高分子 / 単分子化学 / ナノ構造形成・制御 |
研究概要 |
スイッチングや発光などの機能をもつ有機分子を単分子として用いてその機能を最大限に活用することにより、画期的な新規ナノデバイスを作成しようとする多大な努力がこれまでなされてきた。そのためには、機能性有機単分子への配線を有機分子そのものすなわち導電性の有機分子鎖によって行う必要がある。本研究では、連鎖重合反応をナノメートルスケールで制御することで導電性有機高分子鎖を任意の位置に形成する技術を用いることにより、機能性有機単分子の端と配線としての有機高分子鎖の末端とを化学結合により確実に接続する技術の開発を目的として研究を進めた。前年度までに、ジアセチレン化合物分子膜上に吸着したフタロシアニン分子に向けて、ジアセチレン化合物の連鎖重合反応を誘起したときの様子を詳細に調べ、連鎖重合反応末端の活性な化学種が、フタロシアニン分子C-H結合の部分と高い確率で反応し、導電性高分子鎖(ポリジアセチレン)がフタロシアニン単分子と化学結合を介して接続することを確認した。本成果については、本年度論文が出版され、新聞等にも取り上げられるなど、高い評価を受けている。 当該年度は、本研究を次の段階へと発展させるため、作成した導電性高分子鎖配線の電気特性を測定するための予備実験を行った。まず、これまで用いてきたグラファイト基板に代えて、半導体である二硫化モリブデン基板で同様に連鎖重合反応を制御することで導電性高分子鎖の作成を行った。さらに、二硫化モリブデン基板上に金のナノ粒子を作成し、そこに導電性高分子鎖を接続することにも成功した。接続部近辺の様子を詳細に観察し、導電性高分子鎖(ポリジアセチレン)と金電極との接触における電荷移動の詳細(金属から高分子鎖への正孔の移動)を明らかにした。(現在論文を準備中。)これは、分子エレクトロニクス回路の設計にとって重要な指針である。
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