研究課題/領域番号 |
21310083
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
長尾 昌善 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (80357607)
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研究分担者 |
吉田 知也 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 研究員 (80462844)
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キーワード | マイクロ・ナノデバイス / 電界放出 / 静電レンズ / 電子顕微鏡 / 電子ビームリソグラフィー |
研究概要 |
本年度は、次の三点の成果を得た。 (1)エミッタ形状の最適化 5段以上のレンズ電極を形成するためには、エミッタを現状の1μmから3μm程度へと大きくしなければいけない。当初、マスクを3μmにするだけでよいと思われたが、実際に行ってみるとマスクを大きくしたために、エッチング時間が長くなり結果として結晶面の面方位に対するエッチング速度の違いが顕著に表れ、円錐形状ではなく、ピラミッド形状のエミッタとなってしまうことが明らかとなった。これを避けるために、(001)面と(011)面のエッチング速度を正確に測り、面方位による速度の比が1.08倍のであることを明らかにした。その違いをマスク設計に反映させ、円形のマスクではなく、概略八角形でなおかつ、中心から辺までの距離の比を1.08倍にすることで、円錐形の綺麗なエミッタが得られることが確認できた。 (2)多段電極形成プロセスの構築 絶縁膜(SiO_2)と電極膜を交互に成膜する必要があるが、SiO_2の厚さが1μm以上で5段以上の電極数になると薄膜の剥離が起こり、電極が形成できない。そこで、SiO_2の成膜(プラズマCVD)条件を根本から見直し絶縁膜の応力制御を行った。その結果、基板温度が高いほど、また、TEOSガスの流量が小さいほど圧縮応力になり、膜の剥離が起きにくいことを見いだした。その結果7段の電極までは剥離が起きないことが確認できた。 (3)電極端の平滑化プロセスの構築 電極端は、エッチングによりラフネスが生じ、収差の原因を生む。Arイオンを照射することで電極端をなめらかにすることができることを見いだした。イオンの照射条件を様々に変化させた結果、25keV~75keVのエネルギーで1x10^<16>個/cm^2以上のイオンを照射すればラフネスを大幅に低減できることが確認できた。
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