研究課題
本研究は、研究代表者らが世界に先駆けて開発した新しいタイプの窒化物半導体ナノ結晶であるGaNナノウォールの結晶成長機構の解明と制御技術の開発、ナノ物性の評価、およびナノ光デバイス(LD)とナノ電子デバイス(FET)応用の実験的検証を行い、革新的ナノデバイス材料としての可能性を提示することを目的とし、下記(1)~(5)の課題を設定し計画を実施している。(1)ヘテロ構造ナノウォールの結晶成長技術の確立、(2)GaNナノウォール結晶のMBE法による選択成長機構と貫通転位抑止効果の解明、(3)GaN系ナノ結晶の物性評価(格子歪の緩和効果、In組成分布のナノ構造効果)、(4)InGaN/GaNナノウォールの可視域光励起発振の検証とInGaN/GaNナノウォールLDの開発、(5)GaN/AlGaNナノウォールの電気伝導特性評価とFET動作の検証初年度の実施課題(1)と(2)に引き続き、第2年度は主に課題(3)と(4)を実施し計画通りの成果を得た。MOCVD法で成長したInGaN/GaN-MQW薄膜結晶を損傷ドライエッチン法でナノウォール、ナノピラー、ナノホール状に加工して発光特性のサイズ依存性を評価した。PL温度依存性と時間分解PLの結果より、ナノ構造サイズの減少に伴って発光効率が向上し短波長シフトするが、120nm以下で歪抑制効果が飽和することが分かった。一方、歪分布シミュレーションから、顕著な歪緩和は表面から20nm程度の領域で生じることを示し、ナノ結晶ではキャリアは再結合確率の低い中心部から再結合確率の高い表面近傍に拡散するモデルを立て、ナノ結晶における高効率発光の一因を解明した。また、ナノウォールを直径1μm程度の六角形リング状に構成したヘキサゴナルナノリングや周期配列InGaN/GaNナノコラムにおける緑色域光励起誘導を初めて実証した。また、規則配列ナノコラムによる緑色LEDを試作し、電流注入型ナノウォールLDの実現に向けた着実な進展を得た。また、横方成長(ELO)による極転位InNナノウォールの成長技術を開発した。
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Cambridge Journals Online, MRS Proceedings
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