研究課題
本研究では、大学病院を社会医療の安定供給の駆動力と位置づけ、タイムスタディ等業務実態調査を通じて(i)大学・大学病院の駆動力を数理モデルにより明示化し医療の将来シナリオにおける影響を検討する、(ii)医療関連施設の業務実態に基づき社会医療における大学・大学病院の駆動力の構造を検討することを目的とする。本年度はA大学病院の電子カルテ化が2010年に予定されたこと、外来化学療法部の増床が行われたことから、電子カルテ導入前後、外来化学療法部増床前後のタイムスタディ、診療データ収集を中心に行い、併せて近隣の完全電子カルテ化病院と電子カルテ未導入の病院における看護業務についてタイムスタディを実施し、業務実態把握を行った。さらにタイムスタディにより得られた情報に基づきタイムプロセススタディを実施し、患者移送業務、外来におけるカルテ関連業務の分析を進めた。タイムスタディ手法については複数ビデオカメラを用いたビデオタイムスタディ調査法、記録業務に特化し開発した記録時刻と使用した色とを同時に記録できるタイムペンによる記録時間タイムスタディ調査法などを新たに考案した。その結果、カルテ探しなど特定の動作抽出が可能であること、記録時間については日勤帯勤務では平均2時間程度の記録時間となることなどを明らかにした。さらにビデオタイムスタディ結果をもとにした特定動作の検出法、移動軌跡の自動抽出法およびオドメトリによる車いすやストレッチャーの移動軌跡を検出する方法なども開発した。その結果、誤差は10cm程度でほぼ移動距離が把握できることが示された。また、大学病院の地域医療における駆動力を検討するために大学病院の外来患者の受療経過を過去12年間について分析し、社会よりも急速な患者の高齢化の進行、小児患者数の増加、また外来に10年以上通院する患者割合が2%前後であることなどの結果を得た。
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