研究概要 |
携帯電話を顔に寄せるタイミング,すなわち通話操作がそのまま口腔内にあるRFIDと連携できる機会となり,電子決済やエントランスゲートなどでの本人確認手段として素早い認証手段となり、加えてRFIDに体温や血糖値を計測するセンサーを組み込み,生体情報をモニターして糖尿病などの生活習慣病の予防や治療を支援するシステム開発を念頭に,生体親和性を施したRFIDと血糖値計測用電極を口腔内に設置し,RFIDとの通信,血糖値計測を実証する.歯周病治療における歯周組織再生手術の際に用いられる歯槽骨再生誘導メンブレンにRFIDを組み込む方法を考案した。これは歯槽骨再生用バリアメンブレン用のポリマー製フィルターを、純チタン製のミリポアフィルターに代えることで、GTRとGBR療法をRFID埋込の機会として利用するこれまでに無い方法である。歯周病で失われた歯槽骨、あるいはインプラント母床骨として顎骨骨梁高さを回復させる再生治療には、回復に長期を要する分、バリアメンブレンに長期耐久性が要求される課題に対応する方法であり、そのため本研究では10μm厚のチタン薄板に対し孔径20μm、ピッチ50μmにて無数の貫通孔アレイを形成したマイクロ多孔板による純チタン・フルメタルバリアメンブレンを創製した。もともとRFIDを体内に埋め込む際に外部との通信に必要な箔状のチタン製アンテナは、ここで開発されたマイクロ多孔板を用いることが可能であるから、歯周組織埋込型飛FIDの実現に向け大きく前進したこととなる。今回開発されたマイクロ多孔板は、生体に電子媒体を導入する際の基盤としてはうってつけであり、埋め込み型人工臓器等にも利用できる汎用性の高い技術でもある。生体埋め込み電子媒体の具体的デザインとそれを実現する新素材が開発されたことで、その臨床応用に大きく近づいたものと思われる。
|