日本と米国の大学における教育・研究に関わる事故・インシデント事例とその背景要因の相違の有無を比較検討するために、米国のYale大学の環境安全衛生室のPeter Reinhardt氏およびIowa州立大学の環境安全衛生室のWilliam Diesslin氏と各大学における事故・インシデント事例のデータベースの作成について協議しコンセンサスの形成を図った。データベースは、学生の事故・インシデントと教職員の事故・インシデントを分け、事故・インシデントの発生に至った背景要因が判る形式で事例を記載することとした。さらに、この協議に基づき、東京大学の2004年以降の教育・研究に関わる事故・インシデント事例について、整理をし、データベースを作成した。また、研究協力者である大阪大学の安全衛生管理部の山本仁教授とも協議し、大阪大学の教育・研究に関わる事故・インシデント事例のデータベース作成について協力をいただくこととなった。以上により、今後の本研究課題である日本と米国の大学における教育・研究に関わる事故・インシデント事例を比較検討していくためのデータ収集の基礎を固める方向へ作業を進めた。さらに、事故・インシデントの発生に寄与した背景要因の分析のために、M-SHELL分析の考えに基づきManagement(大学・部局等の問題)、Software(規則、研究マニュアル、教育・トレーニングにおける問題等)、Hardware(設備、機器の問題等)、Environment(作業場所の環境上の問題等)、Live Ware(上司の監督・指導、同僚のサポートの問題等)および事故・インシデント当事者のHuman Factor(不注意・技量経験不足等)の観点から、Rasmmusenの人間行動分類とReasonのHuman Error分類を参考とし、事故発生寄与要因のカテゴリーを作成した。
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