研究概要 |
2009年1月にインドネシア西パプア州で発生した津波は,震源域周辺で被害をもたらしたのみならず,日本に向けて伝播し,伊豆諸島や本州・四国南岸で津波注意報が発令された.この津波について,70か所で記録された津波波形を使って,断層面上のすべり量を推定した. 2009年8月に駿河湾で発生した津波は,海底が隆起したにも関わらず引き波から始まっていたことから,検潮井戸の応答特性を現地で調査し,検潮記録に施した.その結果,記録された津波波形は検査井戸の特性の影響をほとんど受けていないことが判明した. 2009年9月にサモアで発生した地震は,これとは逆に正断層であったにもかかわらず海底水圧計の記録は上げ波から始まっているところが多かった.これについては,正断層地震の直前あるいは直後に逆断層の地震が発生したとされている.これらの研究についてレビューし,Nature誌のNews and Viewsで紹介・解説した. 1960年及び2010年に南米チリで発生した巨大地震について,太平洋各地の津波波形ならびにチリの海岸などにおける上下変動データを用いて断層上のすべり量分布を推定した.1960年チリ地震については,地殻変動データのみから推定したものとほぼ同じ地震モーメントが得られ,地震波解析によるものよりも若干小さかった.2010年チリ地震については,津波波形のみからだと陸地の下に大きなすべりが推定されたが,海岸の上下変動データも併用すると,大きなすべりは沖合に推定された.
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