研究課題
環太平洋で過去に発生した巨大地震による津波を,系統的に調査した.南米のチリ沖については,南米の太平洋沿岸の検潮所と海底水圧計で記録された津波の波形データならびにチリの海岸などにおける地殻変動データを用いて,1960年及び2010年の巨大地震の断層上のすべり量分布を推定した.千島列島で2006年と2007年に2つの地震について,2006年のプレート間逆断層地震によるものが2007年のプレート内正断層によるものよりも規模が大きかったことを,深海の磁力計データから確認した.インドネシアにおいては,2009年にパプア島で発生した地震は指向性によって日本での津波が相対的に大きかったこと,2010年スマトラ島沖(メンタワイ諸島)で発生した地震については,地震のゆれの割には津波が大きな津波地震であり,他の津波地震同様に海溝軸付近で大きなすべりが発生したことを,津波の波形解析から明らかにした.インド洋のアンダマン諸島では,2004年のスマトラ・アンダマン地震の前にも,過去400年に大きな地震が2回発生していたことを,液状化痕跡・津波堆積物から明らかにした.2011年東北地方太平沖地震については,沖合の圧力計・GPS波浪計などに記録された津波波形の詳細な解析により,すべりの時空間分布を明らかにした.その結果,869年の貞観地震のモデルに似たプレート間深部のすべりに引き続き,1896年明治三陸津波地震と似た海溝軸周辺のすべりが発生していたことが明らかになった.20世紀以降に世界(環太平洋・インド洋)で発生したM9クラスの巨大地震の地震モーメント,断層面積,平均すべり量,大すべり域の面積の関係についてまとめた.その結果,これまで知られていたM8クラスの海溝型地震の相似則がほぼそのまま適用できることがわかり,M9クラスの地震からの津波高さの予測に用いることができることが明らかとなった.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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