研究概要 |
本研究は,グローバルおよび日本に展開されている広帯域地震観測網からリアルタイムで配信される地震波形データを常時監視し,全世界で発生するMw6.5以上の巨大地震の震源および発生機構をW-phaseを用いて地震発生後6分(遠地地震の場合は15分)という即時的に決定するリアルタイム地震解析システムを開発し,津波警報および地震直後の震度マップ作成等の災害予測に利することが目的である.平成22年度においては,2005年8月から2010年8月までの気象庁マグニチュード6.5以上,深さ200km以浅の地震40個に対して,GRiD W-phase MTシステムのオフラインでのシステム稼働テストを行い,得られた震源パラメータの統計的性質を調査した.震源位置については気象庁一元化震源と比較して,水平方向は0.5゜,深さは10km程度以内に求まっており,メカニズム解については,防災科学技術研究所のF-net解と比べて,モーメントマグニチュードにして0.1以内,メカニズムについてはリセンブランスが0.7以上であった.上記オフラインテストの成果をもとに,東日本,および西日本をカバーするモリタリング領域を設定してオンラインでのモニターを開始した.ただし,2011/3/11に発生した東北地方太平洋沖地震に対しては,周期として,100-300秒のモニターとしたため,メカニズムを決定できなかった.このことは,より広帯域(200-1000秒)でのモニターが必要であることも明らかとなった.
|