研究概要 |
本研究の目的は,「ひずみ集中帯」での地震断層の形態や活動性を高精度に把握するために,衛星画像解析とモデル実験を組み合わせた独自の手法を採用し,定量的な地殻モデルを構築することである.平成21年度は研究初年度として主として下記の二点に関する研究を実施し,成果を得た. 1)「衛星画像解析手法の改良と精度評価」を行うためのシステム環境整備を行うとともに,研究対象地域に関する予備調査を実施した.そして解析に必要な衛星画像データを購入し,解析パラメータを改良するための作業を行った.また,InSAR解析結果から地下深部に存在する断層面の位置と形状・活動性をこれまでよりも高精度に逆解析するための手法を開発し,九州地方などでの実際の地震変動データと比較した結果,良好な一致を見た. 2)「モデル実験結果の定量化」を行うため,表面起伏精密計測装置を導入し,予察的なモデル実験と計測作業を実施した結果,期待通りの解析精度(0.2mm程度)を有することを確認したが,今後の研究の進展を視野に入れ,さらに高精度解析(0.1mm程度)を可能とするための機器を追加導入した.具体的な研究対象地域として新潟中越地域を設定し,地質断面図のback-stripping法による構造復元と数値シミュレーションによるforward modellingを実施して,この地域の構造変形に関する初期モデルを設定した.さらに設定したモデルについて実験を実施し,地下深部の断層活動に伴う地表変動パターンを表面起伏計測によって取得した. これらの成果を初年度から取得したことから,本研究は全体として順調に進行中であると評価している.
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