研究課題
最終年度は、主として電気伝導度構造モデルの構築を行ない、研究成果のとりまとめを行なった。また、前年度、獣害により良好なデータ取得ができなかった陸域観測点の補充観測を2013年2月に実施した。桜島北東部の3ヶ所において約10日間の観測を行ない、概ね良好なデータの取得に成功している。電気伝導度構造モデルの構築では、昨年度予算を繰り越して実施した海域観測のデータも含めて2次元構造解析を行なった。推定された構造は、2測線とも前年度までに得られていた電気伝導度構造と概略は同じであったが、良質なデータが加わったことにより、その特徴がよりクリアとなった。0.1S/m以上の高電気伝導度領域が、姶良カルデラの中央部を横断する測線の深さ7~8㎞以深に見つかり、この良導体は、上方へ延びているようにも見える。しかしながら、海域で取得したデータは高周波成分が海水によって減衰されるため浅部の構造ははっきりしない。良導体の位置は、繰り返し水準測量から推定されている地盤変動の減圧源の位置と大きくは違わないことから、マグマ溜まりに関連した構造と考えられる。一方、若尊火山を通る測線では顕著な良導体は見られず、この傾向は地震学的手法により推定された構造とも一致している。また、過去に取得した既存のデータも用いて、桜島の浅部三次元構造解析を行なった。その結果、海底堆積層と考えられる高電気伝導度領域が桜島島内浅部に広く分布していることがわかったほか、従来、姶良カルデラからのマグマの供給経路の上部に位置すると考えられている北部安永火口周辺では、熱源の存在を示唆するような地下構造が発達していないことが明らかとなった。なお、これらの研究成果は、平成25年5月の地球惑星連合大会および7月に鹿児島市で開催される国際火山学・地球内部化学協会(IAVCEI)2013年学術総会において発表する予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bull. Volcanol. Soc. Jpn.
巻: 58 ページ: 251-267
http://www.ksvo.titech.ac.jp/~kanda/index.files/Page1349.htm