地震災害及び大規模事故発生時の重要ライフライン・インフラ間の相互依存関係の検討では、1995年阪神・淡路大震災、2004年新潟県中越地震、2007年新潟県中越沖地震などの地震災害を対象にして、電力・上下水道・都市ガスなどのライフライン相互の機能的被害波及、機能的被害波及の時間的・面的な広がり方、機能的被害の復旧過程を可能な限り定量的に調査した。また、事故関係では2005年新潟大停電、2006年首都圏大停電を対象とした調査を行い、停電による上水道機能、鉄道運行への影響波及の時間的・面的な広がり方、影響波及の時空間的な回復過程を調査した。地理情報システムを活用することにより、地震災害に関する被害波及と復旧過程の調査結果は町丁大字単位の地図情報、鉄道への影響波及と復旧過程に関しては路線単位の地図情報として整理した。地震災害及び停電事故によるインフラ・ライフライン間の機能的影響波及と復旧過程への影響を分析し、平成22年度に検討する解析モデルの基礎データを作成した。 地震災害による電力・上下水道の相互依存性を考慮した応急復旧過程の解析手法に関する研究では、研究代表者らがこれまでに提案してきた地域メッシュモデルに基づく復旧過程解析手法に関する研究成果を発展させることにより、地震災害時の電力、上水道、下水道の機能的影響波及を考慮した復旧過程(電力・上水道・下水道の相互依存関係考慮した面的、時間的な復旧状況)の定量的解析手法を構築した。また、首都圏の複数都市を対象とした複数の地震に対する事例解析を通して、解析手法の妥当性に関する検討を行うとともに、単一のライフラインの復旧過程の分析では明らかにすることのできないライフライン相互の復旧過程の違いによって生じる復旧遅延地域の抽出例を示した。
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