研究課題
本研究では、マイクロRNA(microRNA)の発現・成熟を制御する分子を網羅的に同定し、その分子によるmicroRNAの発現調節機構を解明することを目的とする。miRNAは、タンパク質をコードしないnoncoding RNAの一種で、メッセンジャーRNA(mRNA)の3'タンパク質非翻訳領域(3'UTR)に不完全に対合して、標的mRNAの翻訳を抑制する。これまでは、microRNAがどのような標的mRNAに対合して、その翻訳を抑制するのかという研究に焦点が当てられていたため、microRNAの発現・成熟過程についてはよくわかっていない。しかし、microRNAの発現および成熟過程の解析は、未知の多様な高次生命現象の解明には重要である。本研究では、この点に焦点を絞り、microRNAの発現・成熟に関わる分子について、それらによるmicroRNAの発現調節機構を明らかにすることを目的とした。microRNAの生合成過程では、まずprimary-microRNA(pri-microRNA)と呼ばれる長いmicroRNAがゲノムから転写され、Droshaという2本鎖RNA切断酵素によって切断されたprecursor-microRNA(pre-microRNA)が生成される。Pre-microRNAは、さらにDicerという2本鎖RNA切断酵素によって切断されて、成熟型のmature microRNAとなる。このような成熟過程に関わっている分子として、Lin-28が知られている。本年度は、このLin-28がイントロンに位置するmiRNAの発現制御を行っていることを明らかにした。さらに、イントロン性miRNAの発現機構がスプライシングの機構と関連していると考えられる知見を得ており、現在、検討中である。
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Anatomia, Histologia, Embryogia (In press,印刷中)
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