研究課題/領域番号 |
21310124
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
福居 俊昭 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (80271542)
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研究分担者 |
金井 保 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10346083)
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キーワード | 超好熱菌 / 始原菌 / アーキア / 遺伝子破壊 / 環境適応 / 発現制御 / シグナル伝達 |
研究概要 |
超好熱始原菌Thermococcus kodakaraensisはNi含有酵素であるヒドロゲナーゼを有している。本菌には大腸菌におけるNi輸送体オペロンの転写制御因子NikRのホモログ遺伝子(TK1439)が存在するにもかかわらず、Ni輸送体のホモログが見いだされないことから、本菌には新規なNi^<2+>濃度制御機構が存在する可能性が考えられる。本年度ではTK1439遺伝子の破壊を試みたところ、その単離に成功したことから、本遺伝子がT.kodakaraensisの生育に必須ではないことを明らかにした。天然培地を用いて破壊株の生育測定を行った結果、野生株とほぼ同程度の増殖を示した。 また、T.kodakaraensisキチン代謝遺伝子クラスターの発現においては、機能未知遺伝子TK1763(Pが単独で、あるいは同じく機能未知遺伝子であるTK1762との複合体として転写後のmRNAのプロセッシングにより制御されているのではないかと推測している。本年度ではTK1762、TK1763、およびTK1762-TK1763の遺伝子破壊による脱抑制が、自律複製ベクターによる遺伝子導入で相補されることを確認した。 一方、細胞が外的環境の変化に対応するためには、その変化を検知して遺伝子発現制御系ヘシグナルを伝達しなければならないが、超好熱始原菌のシグナル伝達に関しては知見がほとんどない。本年度はT.kodakaraensisにおけるタンパク質リン酸化/脱リン酸化に着目し、ゲノム中に見出された3個の推定プロテインキナーゼ(TK0679、TK0801、TK2250)について遺伝子破壊を行った。TK0801、TK2250については単独および二重遺伝子破壊株を単離した。TK0679については単離条件を変えた数回の試みにもかかわらず、破壊株は単離できなかったことから、TK0679は必須遺伝子であることが推測された。
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