研究概要 |
本研究では、遺伝的多様性に基づいた個人医療を推進するための基盤技術開発を目的として、次世代シークエンサーによるヒトゲノムの再シークエンスを実施した。まず始めにBリンパ球株化細胞であるGM130Bからセルソーターにより染色体特異的に単離したヒト21番染色体とY染色体のそれぞれのゲノムDNAを用いてペアエンドシークエンス(総リード数は、209Mリードと110Mリード:解読長は36塩基)を行った。ベースコールされた配列データをBWA(Burrows-Wheeler Aligner)によりヒト標準配列(Build36)にマップした結果、カバーする領域がそれぞれ99.9%と99.6%であったが、ユニークにマップされたリードのみでみた場合は99.0%と55.1%となり、Y染色体の構造解析には今後さらに解析手法の検討が必要であることが示唆された。 次に、これらのマッピング結果を用いて一塩基多型を検出したところ、21番染色体上に約48,000カ所が見いだされ、そのうちの約480カ所が遺伝子(CDS)領域に存在していた。現在、GM130BのDNAチップ解析およびすでに発表されている個人ゲノム解析との詳細な比較を行っている。なお、使用した染色体特異的に単離したゲノムDNAは、どちらも全リードの約半分程度が目的とする染色体にマップすることが可能であった(残りのリードは、目的以外の染色体に由来していた)。また、アセンブリの結果からそれぞれの染色体に由来すると思われる新規ゲノム配列を取得しており、ヒトBAC/fosmidライブラリーから対応するクローンのスクリーニングを進めている。 さらに本解析中において、シークエンサーの処理能力が増大するとともに低コスト化が進んだことなどから、全ゲノム配決定法による日本人由来の細胞株(HapMapプロジェクトで使用)の再シークエンスを開始した。
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