本研究では、第二世代シーケンサーを用いて遺伝的多様性を明らかにするための基盤技術の開発を目的として、これまでにBリンパ球株化細胞(GM130B)からセルソーターにより染色体特異的に単離したヒト21番染色体とY染色体およびHapMap計画で使用された細胞株、個人ゲノムの再シーケンス解析を行った。その過程において、ジーケンス用の鋳型DNAライブラリーの調製法を確立するとともに種々のプログラムによる多型の検出やアセンブリ結果を比較することにより最適な解析パイプラインを整備した。 GM130B由来の各染色体特異的ゲノムについては、どちらも全リードの約半分程度が目的とする染色体にマップされ、残りのリードは他の染色体、新規ゲノム配列および株化する際に使用されたEBウイルス由来であった。また、アセンブリ結果からヒト標準配列にないゲノム配列の存在が示唆されたため、その領域を含むBAC/fosmidクローンの単離し、配列決定を行うことにより染色体上の位置を特定した。次に、全ゲノム配列決定を実施した細胞株や個人ゲノムのマッピング結果から検出した一塩基多型(SNPs)のうち90%以上が既知のSNPsと一致していた。なお、CDS領域上に終始コドンが存在する数十個の転写産物(遺伝子)を見いだしており、現在検証を進めている。また、遺伝子コピー数多型および比較的大きな挿入・欠失については、DNAチップの結果と比較することにより候補領域の検証を実施した。今後さらに検出精度をあげるために、第三世代のシーケンサーなどの利用を検討している。
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