研究課題
本研究の目的であるin vivoキナーゼ・基質ペア予測に必要な情報のプロテオーム規模での実測を達成するため、LC-MS測定系にメートル長シリカモノリスカラムを用い、前分画なしで高効率にリン酸化ペプチドを同定・定量できる系を確立した。本システムを用いてin vivoキナーゼ-基質連動性解析およびin vitroキナーゼアッセイを行った。in vivoキナーゼ-基質連動性解析については、ヒトガン細胞由来培養細胞株を用いて、同一パスウェイ上の異なる標的分子を持つキナーゼ阻害薬を様々な濃度で、様々な処理時間で反応させ、リン酸化プロテオーム解析を行った。その結果、標的分子に関わらず共通してリン酸化が制御されている分子や標的分子に特異的に制御されている分子を同定でき、精密なパスウェイマップの作製が可能であることがわかった。またin vitroキナーゼアッセイについては、395種のリコンビナントキナーゼを用い、HeLa細胞抽出物を試料としてキナーゼ反応を行い、キナーゼ反応を行わなかった試料を参照にした定量的リン酸化プロテオーム解析により基質となったリン酸化ペプチドを同定・定量した。一義的に決定できたリン酸化部位は29,837個で、そのうちin vivoでも観測されているものは9,732個(33%)であった。基質ペプチドを用いて各キナーゼに対しモチーフ抽出を行った結果、既知のモチーフ配列に加え、未報告のものも大量に抽出可能であった。さらに基質ペプチドを元にキナーゼをクラスター解析したところ、キナーゼドメイン配列に基づくグルーピングと相同性の高いクラスターが形成されることを見出した。これらの情報をキナーゼ-基質ペアリングのための付加情報としてリン酸化ネットワーク解析データベースに登録した。
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