研究概要 |
1.ダイズ根粒菌Bradyrhizobium属バクテリアについて、制限酵素切断パターンによりゲノムサイズを調査した。最終的にゲノム解析の対象としたものは4菌株であり、断片合計長(ゲノムサイズ)は以下のとおりであった。B.japonicum USDA6 : 9.2Mb ; B.japonicum USDA122 : 8.9Mb ; B.japonicum T9 : 9.3Mb ; B.elkanii USDA61 : 8.3Mb。USDA61にはプラスミドが存在することもわかった。 2.B.japonicum USDA6のゲノム解析を進めている。全ゲノムDNAをRoche-454 GS FLXを用いて、655,199配列データ(ゲノムの約30倍重複)を取得した。さらにBACライブラリ、コスミドライブラリを構築し、サンガー法により合計4683クローンの両末端配列情報を得た。これらの配列情報のアセンブルをおこなった結果、ほぼゲノムの全領域をカバーできる145のコンティグ配列情報が得られ、合計9.2Mbをドラフトゲノム配列とした。 3.既報のダイズ根粒菌B.japonicum USDA110とのゲノム比較により、USDA6の共生アイランド領域を同定した。USDA6ゲノムではUSDA110と同様に、共生アイランドがバリンtRNA遺伝子に接して配置され、共生アイランドの片方の端が失われていた。また、塩基配列レベルでの比較では、USDA6の共生アイランド領域はUSDA110のものと極めて類似していた。つまり、USDA6-USDA110間で、外来性である共生アイランド上の共生関連遺伝子を比較すると、ゲノムのバックボーン部分のハウスキーピング遺伝子と比べ、より類似している。したがって、USDA110とUSDA6では遺伝的系統は異なる根粒菌株であるが、同じもしくはきわめて類似の共生アイランドが挿入された進化的背景が予想される。
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