研究概要 |
1.Bradyrhizobium japonicum USDA6株の全ゲノム塩基配列を解読した。USDA6のゲノムは、サイズが9207kb、GC含量が63.7%であり、B.japonicum USDA110とよく似たゲノム構成である。USDA6とUSDA110の共生アイランドを比較すると、InDelは存在するものの、塩基配列レベルでほぼ同一であることがわかった。この塩基一致率は、ゲノムの基幹部分が90%程度であることに比べて極めて高い。つまり、これは近い共通祖先の共生アイランドが系統の異なるBradyrhizobium属細菌へ水平伝播した痕跡であり,その導入が両者の高い共生窒素固定能の背景となったことを示している。USDA6ゲノム配列からは、tRNA遺伝子が48種類53個予測された。tRNA遺伝子配列断片の検出により、53のうち15遺伝子の隣接領域にゲノムアイランドの痕跡が予測された。検出されたゲノムアイランドは、共生アイランド内部のものを除き、USDA110とは塩基配列レベルで全て異なる種類であった。trnk-CUUは、USDA6、USDA110いずれにおいてもゲノムアイランド挿入のホットスポットであり、USDA110では3種類、USDA6では4種類の挿入が認められた。 2.3菌株の根粒菌B.japonicum USDA122,B.ponicum T9, B.elkanii USDA61のゲノム解読を進めている。全ゲノムDNAから次世代シークエンサーを用いて、データを取得した。さらにBAC、コスミドライブラリを構築し、それぞれ4806クローンについて両末端配列を得た。これら配列データのアセンブルの結果、USDA122、T9ではコンティグがlscaffold、USDA61では主染色体とプラスミドの2scaffoldsに収束している。
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