研究課題/領域番号 |
21310130
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
金子 貴一 京都産業大学, 総合生命科学部, 准教授 (80370922)
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研究分担者 |
佐藤 修正 (財)かずさDNA研究所, 植物ゲノム研究部, 室長 (70370921)
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キーワード | ゲノム / 植物 / 微生物 / 窒素固定 / 共生 / 窒素固定 |
研究概要 |
解読完了したBradyrhizobium japonicum USDA6株ゲノムの情報解析、及びB.japonicum USDA110とのゲノム構造比較を行った。その成果について論文投稿し、受理された。USDA6のゲノムは、9207384 bpの長さであり、USDA110株ゲノムと比べて1.1%大きい。両者のゲノムをblastnで比較し、dotplotすると、アライメント構成は両者間に共直線性があるうえ、複製開始点を含む大きな逆位が存在することがわかった。ゲノム上には、塩基配列レベルで同一な領域が、共生アイランドに加えて、もう1箇所存在しており、insertion sequenceの局在も類似することから、これら3領域は1つの巨大なゲノムアイランドに由来することが推測された。また、USDA110の特徴として、取り込み型ヒドロゲナーゼ遺伝子群がゲノムアイランドとして挿入されていること、脱窒に関連するnos遺伝子群もゲノムアイランド様領域に見つかることを示していた。これらの因子は、USDA6ゲノムに挿入されていない。これはUSDA6の生理的特性と一致する。B.elkanii USDA61では、プラスミドの配列を決定し、情報解析をおこなった。プラスミドは101809 bpの長さであり、109遺伝子が予測された。COGによる機能分類では、特に組換えに関する遺伝子群の数が多く、全体の20%を占めていた。これは共生領域と共通の特徴と言えるが、共生窒素固定に必須の遺伝子はプラスミドには見つからない。しかしながら、複数のcytochrome P450、エフェクターのホモログがコードされていることから、宿主範囲と共生窒素固定効率への関与が予想された。一方で染色体上には、trnE遺伝子に隣接する648kbの低GC%領域が、共生アイランドに対応することを明らかにした。 B.elkanii USDA61では、プラスミドの配列を決定し、情報解析をおこなった。プラスミドは101809 bpの長さであり、109遺伝子が予測された。COGによる機能分類では、特に組換えに関する遺伝子群の数が多く、全体の20%を占めていた。これは共生領域と共通の特徴と言えるが、共生窒素固定に必須の遺伝子はプラスミドには見つからない。しかしながら、複数のcytochrome P450、エフェクターのホモログがコードされていることから、宿主範囲と共生窒素固定効率への関与が予想された。一方で染色体上には、trnE遺伝子に隣接する648kbの低GC%領域が、共生アイランドに対応することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数菌株のダイズ根粒菌のゲノム塩基配列解析は、予定通り一次データ取得を完了し、配列確定を進めている。B.japonicumの標準菌株であるUSDA6ゲノムは比較解析、データ公開、論文発表を完了した。RhizoBaseでの情報公開は準備を進めている。他3菌株についてもゲノムアイランド領域予測と情報解析を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
・USDA122株、T9株、USDA61ゲノムデータより予測されたゲノムアイランド領域の情報解析を引き続き進め、それらの研究発表をおこなう。 ・根粒菌ゲノムデータベース:RhizoBaseでの解析結果の情報公開を進める。 ・ゲノム配列解析に用いた、BAC・コスミドクローンライブラリをゲノム配列に対してマッピングし、その情報を公開した上で、NBRCへクローンストックを寄託し、研究者がそれらを変異体の解析、特定遺伝子のクローニングなどに利用できるようにする。
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