研究課題/領域番号 |
21310131
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
皿井 明倫 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 教授 (20221286)
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研究分担者 |
藤井 聡 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 助教 (40452825)
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キーワード | 分子ネットワーク / 相互作用 / 構造 |
研究概要 |
本研究では、生体分子のゲノムスケールでの相互作用情報と分子構造の情報を統合し、分子レベルからネットワークレベルまでをシームレスに結びつけるプラットフォームを開発することを目的としている。これまでに、生体分子の構造空間(ストラクチュローム)の全体像を俯瞰するために、Protein Data Bank (PDB)に含まれている構造単位としてのchainをクラスター化しそれらの相互作用からネットワークとして体系化したツール、PDBnet、を開発してきた。 本年度は、まず構造データの増大に伴うPDBnetのデータの更新を行った。タンパク質の構造・機能単位であるドメイシの情報を収集し、配列類似性に基づくクラスター化を行った。一方、ドメインでない領域(非ドメイン領域)も他の分子との相互作用や機能とかかわっており、アミノ酸配列から非ドメイン領域も同定した。そして、PDBの構造情報を元にドメインや非ドメイン間の相互作用を解析し、ドメインレベルでのネットワーク構築の準備をすすめた。これらのドメインや非ドメインの情報の一部はPDBnetに統合し公開した。 また、生化学実験で得られた相互作用データをいくつかのデータベースから収集しPDBnetに統合した。PDBnetは構造情報のみを閲覧できるようになっていたが、生化学実験情報を統合することで、より多くの相互作用情報と巨大なネットワークを構築することができた。一方、異なる実験方法で得られたデータは信頼性が異なるので、これらの相互作用データを統合するために、信頼性の評価を行い、その情報を付加した。一部のデータはPDBnetに統合し公開した。 PDBnetを用いて配列、構造、相互作用、ネットワークなどの関係を視覚的に理解できるようにするため、検索や可視化のインターフェイスに改良を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標である、生体分子構造・相互作用・ネットワークデータベース/ツール「PDBnet」の構築とデータ更新、インターフェイスの改良をほぼ計画どおりに行うことができた。また、PDBnetはインターネット上に公開され、内外の研究者に利用されている。
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今後の研究の推進方策 |
生体分子の構造や相互作用の情報は急速に増大しているので、定期的にデータを更新する必要がある。また、インターネットを通して多くの研究者に利用されるので、検索や可視化のインターフェイスを常に改良する必要がある。今後とも、当該分野の進展や利用者の意見等を勘案して、PDBnetをより利用しやすいツールにし、新たな研究を促進するよう努力する。
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