研究課題
平成23年度は:本研究で確立したアミロイドベーター42繊維特異ヒト抗体、B6とB7のエピトープ解析から明らかになったアミロイドベーター42繊維のミミックペプチド、B6-C15を提示するM13ファージをワクチンとして用い、能動免疫によるアルツハイマー認知症の病態マウスモデル(J20)について解析した。その結果、ファージ1匹あたり5分子しか提示されていない状況下(g3p提示)でも、C57BL/Jマウスの皮下検疫により、アミロイドベーター42の繊維および可溶性オリゴマーに反応する特異的抗体が誘導される事を明らかにした。免疫原がB6-C15であることより、アミロイドベーター42特異的T細胞免疫が誘導されず、アルツハイマー認知症に有用な安全なワクチン治療の一つの手法と考えられる。この免疫応答を更に増強するために、M13ファージのg8pに提示させる手法の開発を試みたが、今の所、良好な成果は得られていない。アルツハイマー認知症の病態マウス(J20)を昨年度に続き人工授精により繁殖させ、ワクチン治療実験を開始しているが、成果の取りまとめは発症までに時間がかかるため、現在進行状況を追跡中である。B6-C15ペプチドが繊維状アミロイドベーター42ではなく可溶性オリゴマーに結合する事が明らかになったことより、これまで可視化されることのなかった可溶性オリゴマーを可視化もしくは検出・定量することができれば、診断法の重要な手段となると考えられる。この目的で、繊維状アミロイドベーター42のプラークが観察される前に、B6-C15結合性の組織染色が可能かどうかを検討した所、ワクチン接種の有無の影響が観察された。現在この知見を確認している。
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