研究概要 |
近年、耐性菌や再興感染症の問題から新しい観点からのIL抗感染症薬の開発が社会的に強く望まれている。このような背景のもと、創薬開発のみならず感染症の予防治療に貢献する新しいターゲット分子の提供は重要である。本研究では、申請者らが独自に発見した構造的にも活性的にも特色のある抗感染症剤について、それぞれの病原性あるいは関連する微生物(MRSA、EPEC、1結核菌M. smegnzatis)を材料に活性発現の責任分子を同定し、その作用メカニズムの解明を目指す。 1) Lariatin類(抗結核活性物質):生産菌Rodococcus josti KO1-BO171株よりその生合成遺伝子のクローニングに成功し、5つのORF (larA~Eと命名)がオペロンを形成し、かっlariatinがリボソームで生合成されることを明らかにした。さらに人為的にアミノ酸改変体を作製する基盤を確立した。またlariatinのC末端のビオチン標識体を利用した結合タンパク質の解析法を確立し、それを基軸にMSMEG1878と1本鎖DNA結合タンパク質を介したDNA複製調節阻害による抗結核の作用機構を推定した。 2) Cyslabdan (β-ラクタムの抗MRSA活性増強作用物質):MRSA抽出タンパク質から標的タンパク質として細胞壁合成に関わるアミノアシル転移酵素を同定した。本タンパク質はβ-ラクタム剤のMRSAの耐性因子のひとつとして報告されており、このタンパク質の機能阻害を介したβ-ラクタム剤増強の作用機構が想定された。 3)Spirohexaline類(抗MRSA活性物質):黄色ブドウ球菌の細胞壁合成に関与するウンデカプレニルピロフォスフエート酵素配列に基づい多摩分子モデリングより、基質との結合部位に本化合物がフィットすること、また構造中の水酸基やカルバモイル基が酵素活性中心に存在するAsn_<35>, Met_<54>, Ala<76>, Glu<88>などと相互作用する可能性を明らかにした。
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