研究分担者 |
伊谷 原一 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (70396224)
幸島 司郎 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (60183802)
田中 正之 京都大学, 野生動物研究センター, 准教授 (80280775)
杉浦 秀樹 京都大学, 野生動物研究センター, 准教授 (80314243)
森村 成樹 京都大学, 野生動物研究センター, 助教 (90396226)
|
研究概要 |
2008年のレッドリストに掲載された野生動物はおよそ45,000種にものぼり、緊急の対応が求められている。動物園など飼育施設においても、野生動物の新規導入は困難であり、小数集団での繁殖、遺伝的多様性の保全、動物福祉の実現は、深刻な課題となっている。本課題では動物園や国内の野外ステーションとの連携を活用して、非侵襲的なDNA採取法の開発に取り組むとともに、血縁や亜種判定の基礎となる多様性データを集積し、多数種、多数試料からなる詳細情報つきのDNA Zooを整備する。また性格評定、行動観察、認知などのデータと、ストレスや行動との関連が予想される遺伝子との比較により、ゲノム情報による野生動物の行動や繁殖の予測システムを構築する。21年度は、(1)DNAバンクの整備を目指して、新たにDNAを抽出した。(2)これらの試料の個体情報をさらに充実させるため、また飼育園館や飼い主の協力を得て性格評定を行った。さらに(3)DNAバンクの遺伝子多型解析を行った。(1)については、野生動物研究センターと連携している京都市動物園、名古屋市東山動物園と、飼育全個体のDNA試料保存を目指す計画で、大型類人猿や食肉目の試料採取を開始した。また野生動物と同様に個体数が減少しており遺伝資源の保全が必要な、ガーナやエジプトの在来家畜家禽も採取した。これまでに蓄積したDNA試料に、本年度は新たに3,766試料を追加した。内訳は、霊長目76種5,652個体、その他の哺乳綱15種7,624個体、鳥綱106種5,809個体などで、総計19,085個体のDNAを得た。(2)これらの試料のうち、チンパンジー、ゴリラ、イルカ、イヌ、ネコ、ゾウの性格評定を行った。(3)については、ゾウで新たな遺伝子多型を見いだし、性格との関連性も示唆された。
|